1.はじめに
フレキシブルファイバーコンディショナー(以下、FFCと称す。)とは、半導体製造の平坦化プロセスのCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程で用いる研磨パッドの表面性状を再生する目的で開発した、ブラシを用いたコンディショナーです。今回は大学との共同研究結果を基にダイヤモンドコンディショナー(以下、DCと称す。)と比較したFFCの特徴を述べていきたいと思います。
【コンセプト】
これまでのDCがダイヤモンド砥粒で研磨パッドを削り取る一方、FFCはブラシをスティックスリップさせ先端で研磨パッドを引っ掻いているイメージになります。


【FFC】 
【FFCのコンディショニング】
2.実験条件
実験条件は下記の通りです。
| 実験装置 | 種類 | 片面毎葉研磨装置(マルトー製:ML-503) |
| スラリー | 種類 | Colloidal silica (COMPOL-80) |
| 滴下量 | 3 mL/min | |
| 滴下位置 | 45 ° | |
| 濃度 | 10 wt% | |
| ウェーハ | 種類 | Silicon wafer (2 inch) |
| 研磨パッド | 種類 | IC1570 (k-grooved) |
| 直径 | 300 mm | |
| ダイヤモンドコンディショナ | 砥粒 | #100 |
| フレキシブルファイバー
コンディショナ |
線径 | φ0.1mm |
| 材質 | SUS304 | |
| 毛丈 | 4 mm |

【マルトー製:ML-503】
3.実験結果
【研磨レート】


【パッドカットレート】

【パッド屑】

【ファイバー先端形状】


DCと比較したFFCの特徴は下記の通りです。
- DC同等の研磨レートを確保することができ、更に安定性が向上します。
- パッドカットレートがDCの1/4になるため、パッドの長寿命化を図ることができます。
- ファイバー先端形状にかかわらずコンディショニング可能なので、コンディショナーの長寿命化が期待できます。
4.最後に
上記FFCの特徴を述べてきましたが、実際にデバイスメーカー様等とお話をすると『金属イオン』が最大のネックとなり、ラインへの導入には至っていないのが正直なところです。
現在はこの点を克服するため、セラミック毛材を使用した『ステンレスフリー』のFFCを研究・開発しております。進展がありましたら当ブログで紹介したいと思います。
ではでは…